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☆
「おかえりっ!」
「ただいまです。わぁ…えっとなんて言うんでしたっけそういうの」
玄関で出迎えてくれたのは深いスリットの入った赤い服を着た散葉さん。緋色の髪によく似合っている。…強いて言うなら散葉さんの服にほとんど共通することだけど、ちょっと露出が多い。
「チャイナドレスだよ。似合うかな?」
「もちろんです!綺麗ですよ」
「えへへ、よかったぁ」
本当に嬉しそうに散葉さんは微笑む。僕がどれほど幸せなのかを再認識したところで。
「あれ?そういえば七海はどこです?」
「あれ?変ね…一緒に来たと思ったんだけど」
二人でキョロキョロ見渡していると、玄関からの廊下の先にあるドアから水色の髪の毛が覗いているのが見えた。七海の髪だ。七色のうちの一色。
あれは隠れているのだろうか。
「七海?おいで?」
僕が呼ぶと、水色の髪はビクッと揺れた。
「大丈夫よ七海。ちゃんと可愛かったわよ?」
「………うんー…」
少し間をあけて帰ってきた返事。おずおずと出てきた七海の服は散葉さんより露出抑え目のピンクのチャイナドレス。うん、可愛い。僕の前まで来て、七海は人差し指を突き合わせた。
「…変じゃないー…?」
「全然変なんかじゃないよ!可愛い。だいたい、七海のママはこんなに綺麗なんだよ?その娘なんだから似合わないわけないよ。七海は可愛いよ」
抱きかかえてあげると七海は小さく首肯していつもと同じく頬ずりをした。
「えへへ…パパ…ありがとうー…」
笑い方もお母さん譲りみたいだ。
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