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次々に鍋に肉を放っていく散葉さん。七海は見た目は可愛い女の子でも本質的には龍なのでやはり肉食だったりする。肉食とは言ってもただ好きなだけだけど。
「ところで零也くん」
「はい?」
「旅行行きたくない?」
「唐突ですね」
「唐突じゃないよー…?今日ね…ママとお買い物しながら話してたのー…」
お豆腐を掬うのに苦労しながら七海が教えてくれた。
「候補はどこなんです?」
「ん?…それが決まらなかったんだよねぇ」
「あれ?珍しいですね。散葉さんならもう決めてるかと思いました」
「だってぇ…桜は見ちゃったし海も行っちゃったでしょ?となると次は紅葉だけど…わざわざどっか行かなくても私の力が戻ったらどこでも見れちゃうからつまんないでしょ?だからどうしようかなって」
なるほど。
でもわざわざ季節をずらさなくてもいい気もする。とは言っても散葉さんの言うとおりだ。僕がつまらないとかじゃなく、七海のためにも。知識としては確かに自然を知っているのだろう。でも知ってはいても実際に見てみると予想を遥かに越えていたりする。七海にはそんなたくさんの景色を見せてあげたい。
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