1.少年の独奏~ソロ~

24/43
前へ
/227ページ
次へ
「パスポートないから外国とかは駄目ですし…んー…」 「やっぱりあんまないよね。最近はずっとここにいたから発想が貧困になってるのかな」 「七海、どこでもいいよー…?」  野菜を咀嚼しながら考えを巡らせる僕と散葉さん。このまま平行線を辿るかと思われたのだけど───。 ピンポーン 「あれ?誰か来たね。私出てくるよ」 「お願いします」  誰だろう。咲夜さんだったらインターホンなんて鳴らさないから晴さんか政基くんとかかもしれない。 「って晴さんだったら大変だ!」  散葉さんは未だに晴さんを見ると条件反射で殴りかかってしまう。ほっといたら死んじゃう!  慌てて駆け出したところで。 「あ、どうしたんだよ零也?そんなに慌てて」 「政基くんか…よかったぁ…」 「晴かと思ったんでしょ?ふふっ、急がなくてもいいのに」 「え?やっと許したんですか?」 「ううん?零也くんが急ごうがなにをしようが、止められる前に一発当てるもん」 「そういうことですか」
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3994人が本棚に入れています
本棚に追加