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「あ、あの…勘違いしないでくださいね?嫌だったんじゃなくて恥ずかしかっただけです。むしろ羞恥プレイなら大好物です」
よくわからないことを自信満々に言って、咲夜は零也の手を握った。
「そこらへんの談義はまた今度にしましょう。今は二人きりの図書室の実現が先です」
散葉もそうなのだけど、女性はやたらシチュエーションにこだわる気がする。夕飯を作っているときは七海と戯れるか新聞を読むのがいつの間にか暗黙の了解になっている。
「咲夜さん図書室の鍵持ってるんですか?」
「いえ。学園内の鍵はすべて私の方術で出来てますから私がいれば学園内に出入りできない場所はありません」
つまりそれを使って零也の部屋に忍び込んでるのだろう。今度ホームセンターで設置式の鍵を買ってこよう。多分無駄だとは思うけど。などと思案していると、咲夜が顔をしかめた。
「どうしたんです?」
「図書室に誰か居るみたいなんですよね」
「え…咲夜さんの方術を破ったってことですか?」
「いえ、大丈夫です。犯人は割れましたから」
少女のような顔を怒りに歪ませて咲夜はかつ、かつ、と歩を進めてゆく。校長室から図書室までは一直線。廊下の突き当たりにある。ドアの真っ正面に来てから咲夜は指を縦に振った。ガチャンと音がして自動的にドアが開く。
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