1.少年の独奏~ソロ~

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「光縛結界」  無慈悲に呟くと図書室の真ん中で本を読んでいた零也より少し大きい少年を拘束した。 「悟さん。どうやってここに入ったのか四百詰め原稿用紙三枚以上、二文字以下で説明なさい。制限時間は三秒です」 「なにその矛盾!?無理───」 「一、二、三。タイムオーバー。死刑です」  極限まで感情を押し殺した声を放ってから咲夜は親指の腹と人差し指の腹を少しずつこすりあげた。それに従って光の糸がギリギリと締め付けを強くしていく。 「ぎゃあ!?ごめんなさい!窓が開いてたから入った!ごめんなさい!」  窓から入った?  校長室は三階だ。そこから一直線上にあるこの部屋も当然三階のはずなのだけど。 「本当に見下げたお馬鹿さんですね」  力を込めてこすりあわせていた指を開いて振ると光の糸が消えて締め上げられていた少年が三メートルの高さから腹ばいに落ちた。ぐえっ、と地面にたたきつけられた蛙のような鳴き声を出してから少年は立ち上がった。 「無断で山籠もりの後は不法侵入ですか。救いようがないですね」  かつてないほどに責め立てながら咲夜は零也の腕に絡みついた。 「さ、ゴミ虫はしかとして楽譜を探しましょう」
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