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そう言えば確かに包帯が巻いてある。
しかし感覚が麻痺しているのであろう。
全くもって痛みを感じない。
「大丈夫です。痛く有りません。」
にこやかに答える。
すると彼は安堵の溜め息をついた。
だがすぐに、安心した表情からは一転。
「では何故あの様な場所で
倒れて居たのですか?
やっぱり背中の傷から言えば
浪士に斬られてしまったのですか?」
そう話ながら青年の美しい顔が少し歪む。
こんな私の心配何かしてくれるの?
───…しかし、青年の言う裏通りとは何処の事なのだろうか。
分からないがここは答えた方が良いと判断し色々と考えた末ジッと下を見ながら答える。
「浪…士、では……ありません。」
「では一体…───」
「それはっ…その………」
説明しようにも、それは出来ない。
どう答えたら良いのか分からなく言葉をつまらせてしまう。
「ハハッ…無理には聞きませんよ!
人間、人に話したくない事の
一つや二つくらい有りますからね。」
そんな私に対して青年はニッコリ笑って優しい言葉をかけてくれた。
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