未練…

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未練…

毎日を目標なく平凡に過ごしている日々が続いた。 頭の中には何も浮かんでこず、自分の中で『孤独』という言葉が生まれてきた。 …お願いやから、一人にならして。 時々そう言って友達から離れて行き、一人になる事があった。 学校のベランダで、青々とした空を見て流れていく雲を目で追い、頭の中の思い出を消していった。 …④クンとの出会い。 …④クンとの別れ。 …④クンとの再会。 …④クンの笑顔。 …④クンの怒った顔。 …④クンの手の大きさ。 …④クンの悔しがっている顔。 思えば④クンとは沢山の思い出があった。 忘れるのには時間が掛かるほど沢山……… それほど好きだった。 大好きだった。 ④クンに会えるのなら… と、学校の授業をサボってでも試合の応援をしにも行った。地図を買って知らない道を地図頼りに3時間かけて車を走らせた時もあった。 熱があっても、どんなに体調が悪くても辛い事が待っていると分かってても。 ④クンの目に私が写る日が来る事を信じてどんな時でも④クンのいるところに行った。 ④クンと出会って、行き慣れなかった福岡の街も今では行き慣れた道となり、近道まで覚えた。 そんな事がありすぎて、④クンの事がなかなか忘れずにいた。
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