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5分も経たない間に料理が来た。 「――おいしい!」 思わず声が漏れる。 口の中に広がる香りはまさに……カレーライスだった。 「カレーライス……だよね? これ」 本条さんは苦笑いをしながら言うと、それが聞こえたのか陽子さんが飛んできた。 「ご、ごめんなさい。間違えました」 慌てて何回も頭を下げる姿を見て、僕はイタズラにハヤシライスを選んだ事に罪悪感を覚える。 「い、いえ。ちょうどカレーライスにしようかと迷っていたので――これで構いませんよ。ね、横川くん?」 「あ、うん」 陽子さんは何回も何回も謝ったあと、深々と頭を下げ、キッチンへと戻って行った。 「ウフフ。でも本当においしいね」 「うん。ここはゲレンデから少し離れてるから、たぶん料理目当てのお客さんが多いんじゃないかな」 「へぇ~。……また来たいね」 「う、うん」 また二人で――って意味なのかな? いや、考えすぎか。 僕達は映画について語り合いながら夕食に舌鼓を打った。 ――食べ終わったあとで談話室に戻ると、あのアベック? とおばさんがソファの上に座っていた。 「お、来たな。色男」 馴々しい態度に少しムカついたが僕は愛想笑いをしながら空いてる席へと腰を掛けた。 本条さんも隣りに座る。 「あら、あんた確か……そう! テレビに出とった人やんねぇ?」 おばちゃんが関西弁で話しかけてくる。 紫のパーマに虎がプリントされた服――典型的な関西のおばちゃんだ。 きっと『飴ちゃん』とか『お芋さん』とかを持っているに違いない。
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