0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
8月31日。
夏休み最後の日。
"宿題"なんてものには全然手をつけてなくて。
どうやって担任を丸め込もうかなんて考えていたときだった。
「わ…っ」
信号待ちをしていた人ゴミの中に誰かが飛び込んできた。
そのまま勢い良く転け、バサッと参考書やノートがバックから飛び出した。
「い…ったぁー!」
バタンと倒れ込んだその子に見覚えがあった。
「え…リナ、ちゃん?」
思わず声を出してしまっていた。
「…え、誰?」
女の子は転けた体制のまま俺のほうを見た。
あ…やべ。
「いや…」
そう言いながら、かがんで女の子の落とした参考書を拾い集めた。
信号が青になった瞬間、待っていた人達は一斉に歩きだした。
取り残される俺達。
「…とりあえず、立てば?」
俺がそう言うと、女の子は我に返ったように顔を赤くして立ち上がった。
膝は擦りむけて血が出ていた。
最初のコメントを投稿しよう!