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昼。
購買はいつも戦場。
ま、わかると思うけどオレも結樹も購買。
イコール、戦場に赴かなきゃなんねーってこと。
早くお目当ての物をとらないと、変なものばかり残るからキツいよなー。
この間は納豆パンやキムチパンがあった。あんときゃびびったぜ。
チャイムが鳴ると、オレたちは目配せし、いざ戦場に赴く。
「「せーの」」
声をかけおわると、二人して駆け出す。
これも競争だ。
あらかじめ、何を食べたいか教えあっておき、どちらが早く両方取れるかを競ってる。
やはり予想通り、男共が群がっている。
オレは一瞬怯んじまうが、競争中なのを思い出し、掻き分けて入ってゆく。
結樹はためらいを見せることなくさっさと掻き分けて入っていたので、惜しくも負けてしまった。ちきしょー。
「全然惜しくもねぇよ。渦に呑まれて窒息仕掛けたのは誰だよ。」
「うっせぇ!!」
結局、残った激辛スパイシーレモンパンなるものを買ったオレは、勝ち誇る結樹とともに屋上にて食べる事にした。
おとなしく食べていると、はい、と差し出されたカルビ焼肉握り。
カチンときたオレは、「いらねぇよこんなモン!」と投げ捨ててしまった。
そして怒りのあまり立ち上がり叫ぶ。
「お前なんでこんなことすんだよ!オレのプライド踏みにじる気か!!!」
「違う。俺は…、」
「俺は、お前が好き、だからっ…!!」
叩きつけるように言われた。
へっ、と思っていると、唇になにか変な感触がした。
「…っ、やめろよっ!!!」
嫌悪感から、思い切り結樹を突き飛ばす。
はぁはぁと息が乱れるオレとは対照に、そいつは無言で固まる。
「済まなかった。」
一言謝って屋上から逃げる結樹。
「なんなんだよ。」
後にはオレと昼飯、そして転がったままのカルビ焼肉握り。
昼飯なんか喰う気になれなかったオレは、教室へ戻っていった。
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