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「どうしたのエステル?」
「どうして中に入って話さないの?」
相変わらず中に入らないエステルに疑問を持ったヨシュアとレンがそれぞれ問いかけながら中を覗く。彼らの目が点になった。
「やあ、こんにちわ。えっと、エステルさんが来たということは、君たちがヨシュア君とレンちゃんだね。さっきロレントから通信があったよ。僕はロート・ビリック。ビリックと呼んでくれてかまわないから」
そんな彼らに気にも留めず、ビリックはもう一度ゆっくりと自己紹介をする。
そんな彼は今も扉近くにいた。
否、そこにしか人が立てる空間がなかった。
「す、すごい状況ね」
レンが思わずつぶやいていた。
そこには所狭しと本が乱雑に積み上げられていた。場所によっては依頼の書類なのだろう、紙の束が上に乗せられている。かろうじて人が通れる場所は確保されているのだが、進んで入りたいと思えない状態だった。
カウンターは遥か遠くのほうにあるかのように感じられる。そのためか本の上にバインダーが乗せられただけのエステルたちが立っている入り口の近くに簡易のカウンターが作られていた。当然掲示板の存在も見当たらなかった。
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