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「どうしてこんな状況に?」
誰もがつぶやいただろうことをエステルたちの代表としてヨシュアが問うた。
「ああ、これかい。ちょっと調べものをしていたら本が増えてしまってね。片付けないととは思うんだけどすぐにこうなっちゃうから」
ハハハと笑うビリックにエステルたちは笑えないと内心で突っ込みを入れていた。
さてどうしたものかとエステルたちは顔を見合わせた。
ここからならばエルモまで行くのにそう時間がかかるわけではない。急ぐ旅でもないのだから、この街へ来たついでに知り合いたちに挨拶をするつもりでもいた。だが、この状況を見てしまうと、動けなくなってしまった。
そうなると、お人よしな彼らがとる行動は一つしかなかった。
「あの、もしよければ僕たちが片付けるのを手伝いましょうか?」
「いいのかい?」
彼らの取る行動、それは『手伝う』だった。代表して申し出たヨシュアの言葉にビリックが目を輝かせて問いかける。
それに「はい」と答えようとしたとき、
「やめとけ、やめとけ。くたびれるだけだぞ」
と言って彼らを制した者がいた。
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