あいつとの出会い。

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同じ中学から2人の日本一を輩出したということ、しかもその2人が双子の姉妹だということは瞬く間に噂となり、当然のように彼女たちを是非特待生として……と母校に声を掛けてきた陸上の名門校はいくつもあった。 だけど彼女たちはそろってそんな声になど聞き耳を持つことなく、地元の公立高校である青葉学園高等学校に一般入試を経て入学することにした。 特に日本中学100mタイ記録である、11秒73のタイムで他の追随を許さずぶっちぎりで優勝した和香のへのスカウトは、進路が決定した今でも続いていた。 和香のタイムは高校陸上にそのステージを移しても、既にインターハイでも優勝を狙えるほどであったので、当然といえば当然であった。 一方美空は、確かに全国優勝を果たしたとは言っても、その記録は例年であればごくごく平凡と言わざるを得ないもので、たまたま同年代に好記録を持つライバルがいなかったから1位になれたと言われても仕方が無いと言うのが現実で、美空自信がそれを自覚していた。 しかも美空がそのバーの高さを飛び越えたのは全国大会の決勝の時の一度だけ。 さらにはその記録も、その一度のみ偶然自己記録を7cmも更新することが出来ただけで、その後は全く同じ高さを飛べる気配は微塵も感じられなかったのだ。
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