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「アタシは今日スタートダッシュの練習するけど、美空はどうする?」
軽めのランニングで体を温めながらそう言う和香に、美空は第3コーナーの方を指差して言う。
「今日は高跳びのマットが出てるみたいだから、私は跳躍の練習をメインにするよ。流しのダッシュまでは付き合うから、その後は別々でいいかな?」
和香は美空の指差す方をチラッと見ると、そっか……と言って、2人は一緒にウインドブレーカーのポケットに手を入れ、同時に赤いゴムを取り出して走りながら長い髪を縛った。
トラックを3週ほどした後、おしゃべりしながら互いの背中を交互に押してストレッチをしていると、2人の近くにパステルグリーンの目にも鮮やかなジャージを着た1人の男が近づいてきて、彼女たちに話しかける。
「君たち立花姉妹、だよね?」
和香と美空はその手を止め、座ったままで目の前に立つ男を見上げた。
「そうですけど、あなたは……?」
和香がそう言うと男は笑顔になり、その右手を和香に差し出して言った。
「やっぱりそうか!俺は青葉学園高校の井上。青葉の部長の井上良介。君たち来週からウチの高校に来るんだって?よろしくね」
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