始まり

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始まり

俺の朝は、1枚のトーストとミルクティーで始まる。 これがまた、実に美味なのである。 毎朝恒例のブレイクタイムを味わった後、ママン(母親)にお出かけのチューをしてもらう。 「行ってきま~す」 と、甘ったるい声で別れを告げた後、玄関を開いた…ら、俊一がいた。 いつものように俺を待っている…。忠犬ハチ公が如く。 「早くしないと遅刻すんぞ!!早く走れよ!!」 こいつは、皆の前では猫を被っている。自分の本性をさらけ出して、破滅してしまえ。そう思いながらも奴に付いて走る。 今日は、些かブレイクタイムが長過ぎたようだ。 担任の江川に罰則をくらわぬ為にも、忙なければならない。 江川は、趣味がトライアスロンという怪物で、ゴリマッチョな体つきをしている。 いつも、愛刀のMURAMASA(竹刀)を持ち歩いて、規則を破る者あらば片っ端から愛刀で叩く。 そんな事は、ゴメン被る。 全速力で走ってやっと校門についた。 クラスに入ると時間ギリギリだった。江川が、悔しいそうにこちらを見ている。 「ザマァみろ!この肉の塊がっ!!」 と、心の中で叫んでやる。 本人の目の前で言ったら、即死ものだ。 教室に入ると、いつものメンバーが待ち受けていた。 がたいの良い、メガネをかけている奴が、土屋智治。 通称:ツッチー。奴はこの学校のありとあらゆる情報を収集するプロだ。 奴にかかれば、好きな女の子の3Sizeはもちろん、今日の下着の色までお見通し! その隣に座っている小柄な体型の男が、浅間海斗。 通称:魂兄弟!!! 奴は、モテない男供に夢を与えてくれる。盗撮のプロだ!! 奴が「萌え❤」と思った瞬間をフレーズに収め、我等に無償で見せてくれる。 最高にして、最低の友だ!! 教室に入ると、土屋が話かけてきた。 「今日、転校生が来るらしいぜ」 一瞬、昨日の出来事を思い出した。 そんな事無いよな…。 頭に浮かんだものを、すぐさま打ち消す。 「転校生って男?それとも女?」 ここが1番重要だ。 男。特にイケメンなら萎える。転校なんてしてくんなって話だ。 女の子なら、ウハアハなのだが…。どうせ男だろ。 そう思った矢先に、土屋が口を開いた。 「転校生は女で、しかも美少女らしいぞ!!」 この発言に男子一同が硬直した。「女の子!」「しかも美少女かよ!」教室中はザワメキに包まれる。 その時、江川が戻ってきてこう告げた。転校生を紹介する。
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