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ド金髪、赤い目、尖った歯。
黒いコートに純銀製のボタンが光り、胸元には金色のエンブレムがこれみよがしについていた。それに書いてある文字は――
『IBPO』
「オラオラ、横がガラ空きだぞ!」
「えぇいうっさい!!班長だからって威張ってんじゃないわよ!」
俺はにぃ、と口元を歪ませ――腰に下げていた2本の剣を抜いた。
「弾けろ、"ノワール"、"ネロ"!」
「きゃあああッ、危なッ!」
右手の黒刃の剣がノワール、左手の柄が黒い剣がネロ。俺の愛剣。
「やり過ぎだ、アホ黒都[クロツ]」
「ゔげッ」
この声……副班長か。つーか頭乗んな、この野郎。
「訓練にしては過剰過ぎるぞ。観束[ミツカ]、お前も煽られるな」
「ごめん、つい……」
クソ、副班長の癖に偉そうに……班長に従えっつーんだよ。
――ドゴッ、ビシッ!
「その班長がこんなだから俺が指揮をとらざるを得ない事を理解して欲しいところだな」
「ス、スンマセン……!!」
真後ろにあった訓練場の壁が、ベコリとへこんでいる。
こいつのチカラは恐ろしい。
――あ、そうだそうだ、まだちゃんと名乗ってねェよな。
俺の名前は黒都。
IBROパトロール部隊5班の班長で――
こう見えても、純血のヴァンパイアだ。
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