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「あたし手伝うよ」
「へぇ、珍しい。何も奢らねぇぞ」
「終わらなかったら班員にも責任がかかるの!
それが迷惑だって毎回言ってんでしょ!」
全くどいつもこいつもうるさいヤツだ。
あ、観束は純血のサキュバスだ。俺と同じ世界の生まれで、幼なじみだ。
「じゃあ頑張れ」
「えっ、ホントに手伝ってくれないの?錠……」
眼鏡の奥の冷たい目が俺らを見た。
うわっ、怖ッ。
「悪いが俺は一応人間でね。任務で徹夜したら朝は眠らないときついんだ」
「そ、そっか……ゴメン」
「2人も"夜"の一族なんだ、無理するなよ」
観束が頷くと、錠は本当にトレーニングルームから出て行った。
まぁ、あいつは人間だから俺らより体力がないのは仕方ない。
錠は5班の中で唯一人間だ。
ただ、特殊な能力がある人間――俗に言う「エスパー」で、ウチに所属している。戦闘よか諜報部のが合う気もするが、パトロール隊にいるのは本人の希望らしい。
「じゃあココ片付けて早く書類やっちゃおう」
「おう。つーかあの壁どーすんだ、錠のヤロー壊すだけ壊していきやがって」
俺の給与から天引きとかジョーダンじゃねぇぞ、オイ。
「錠ならちゃんと修理手続きくらいしてるよ」
「だといーけどな」
実力主義のココは、任務の成果で給与が決まる。
錠は優秀だから給与も問題ないんだろう。
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