マイキス

始まり

――二年半前。

今にも雪へと変わりそうな冬の雨
夕真は全てから逃げるように走っていた。

はぁはぁと上がる息に生きていると実感し――虚しくなった。

グッタリと疲れて果てた身体は濡れた道端でも躊躇いなく座れた。

「何してるの？」

「…」

ふて腐れたように無視を決め込む夕真。

「濡れてる」

頭上に差された傘が雨を遮った。

「風邪ひくよ」

これが彼女との出会いだった。