生い立ち

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でも・・・ どこかで寂しさを感じていたんだ。 父は、仕事人間で私達との会話なんてほぼないに等しかった。 顔も合わせない時だってあったくらいだ。 小学生の夏休みには、遠出をしても母と妹だけ・・・ 周りの仲の良さそうな家族をみてうらやましかったのを今でも忘れない。 いつしか私達にとって、父親というものの存在が欠落していったのは言うまでもない。 父がいなくて当たり前・・ その分母と話すことが多かったが、母は母で祖母との確執に悩んでいた。 祖母は末っ子で甘やかされて育ったせいか、すごく頑固でわがままだったから。 自分が機嫌の悪い時には、母や私達孫に冷たく当たる。 すごく辛かった・・・ 機嫌が悪いからってどうして顔や態度にだすの? 私達が何かした? 何よりその時の私は、 母と祖母が言い合いにならないようにと祈るしかなかった。 もし・・・ 言い合いになってしまえば家の中に居づらくなる。 楽しいはずの・・・ おいしいはずの食事だってまずくなる。 それだけじゃない。 私が1番見たくなかったのは、母の涙だった。 大好きな母・・・ 悲しんでほしくなかった。 いつも笑っててほしかった。 だから、ものごころついた時からやけに気を使う子供になってしまっていた。 幼いながらに、我慢すれば うまくいく・・・ 丸くおさまる・・・ 頭では理解できなくても 感じていたのかな?
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