罪と罰

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ベンチには座らず、いつも行くことのないような暗闇に腰をおろす。 あぁ、もう何もかも終わったんだ。 私がこの手で自分の幸せを壊したんだ。 この手で・・・ 考え出したらきりがない。 あらゆる感情が私に襲いかかる。 こんな人生ならいらない。 もう生きてるのも嫌だよ。 死ねば楽になれる? 全てがまるくおさまる? 今なら失恋くらいで死ぬとか言っている自分を恥ずかしく思う。 生きたくても生きられない人もいるのに、ぜいたくだってそう思うだろう。 でも、この時の私にはだいきが全てだった。 自分の体の一部のようなそんな感じだったんだ。 なんの前触れもなく消え去った恋の痛みだけが、じんじんと体中を駆け巡る。 神様、お願い。 もう一度だいきに会わせて下さい。 何でもします。 もう人を傷つけるようなことはしません。 震える手をにぎりしめ、神頼みするしかなかった。 もうそれくらいしか・・・
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