紅茶。君

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ある昼下がり。 アリスとヨザックは庭で一緒に紅茶を飲んでいた。 「にしても姫さんから誘ってもらえるなんて……珍しいこともあるんすね~」 「なによ、その言い方」 アリスがちょっと頬を膨らませて言うと、ヨザックは慌てたように言葉を返す。 「いや、変な意味じゃなくてですね? 俺はてっきり姫さんに嫌われるモンだと思ってたんで…ね?」 小さく首を傾げながらアリスの顔を見る。 「いや…ね?じゃなくてさ。なんで嫌われるとか勝手に決め付けるかな…」 「あれ違ったんですかい?だって姫さん、俺と視線が合うたび外すでしょ」 ちょっと拗ねた感じでヨザックが言った。 「………」 「……なんで黙るんですか」 俯いてしまったアリスの頬を両手で包み、視線を絡ませる。 そこにあったアリスの顔は見事に真っ赤だった。 (ありゃ?こりゃもしかして……?) 「ひーめさーん?」 「…何よ」 「俺、全部分かっちゃいましたから」 そう言ってニヤリと笑ったヨザックに、アリスの顔は また赤くなるのだった。
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