かなしみ

2/2
前へ
/76ページ
次へ
あたしがよく泣いていたのは、泣き虫なせいでもあり、でも本当は、本当にかなしかったからなの。 あなたを怒らせるほど、いたらない自分が。 あなたをかなしませてしまう、自分が。 あたしは何も知らなかったし、でも、知らないということは、ゆるされることではなかったから。 知らなければ、聞けばいい。 知らなければ、教えて、とお願いすればいい。 そうすればいいこともわからない自分に、ものすごく腹が立ったの。 あたしはかなしかった。 あたしがあなたをかなしませている事実に愕然とした。 今、あなたとの日々は、経験としてあたしのこころとからだに刻まれ、もうあの時ほど誰かをかなしませることはすくなくなったけど、おこる、という気持ちの根底には、やっぱり、かなしみがあるとおしえてくれたのは、ほかの誰でもなくあなたなのです。 ありがと。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加