かなめけ

2/7
前へ
/12ページ
次へ
ピピッ   カードキーを認証するとマンションのドアが開く   「じいちゃんもしかして、一人暮らし?」   高槻は俺の後についてエレベーターホールに入る   「あぁ、お前もそうじゃないのか?」   うちの家系は男の子には旅をさせろ、って自由奔放な感じで俺もそれにならい、高校の時からこうして一人暮らしをしている   見たところコイツも高校生だし一人暮らしでもおかしくはない   「俺…一人暮らしじゃないよ、許してもらえなかった」   そう言って物言いたげに俺をみる   「また、俺か」   未来の俺とやらは、何て頑固ジジイなんだ…と考えてたらエレベーターが着く   ウィーン 「じいちゃんはさぁ…家族を大事にしなさいってそればっか」   七分丈のズボンのポケットに手をつっこむと高槻は、膨れ顔を見せる その顔がどことなく、妹の真優子が拗ねた顔に似ている気がした   ポーン 「あ、7階着いた!」   ドアが開くと高槻は飛び出す   「おい、先に行くな!部屋わかんないだろ」   「知ってる!707号室っ!」   何故親にすら教えてない部屋を彼が知っているのか…   この時俺はあまり深く考えもしなかった
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加