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ピピッ
カードキーを認証するとマンションのドアが開く
「じいちゃんもしかして、一人暮らし?」
高槻は俺の後についてエレベーターホールに入る
「あぁ、お前もそうじゃないのか?」
うちの家系は男の子には旅をさせろ、って自由奔放な感じで俺もそれにならい、高校の時からこうして一人暮らしをしている
見たところコイツも高校生だし一人暮らしでもおかしくはない
「俺…一人暮らしじゃないよ、許してもらえなかった」
そう言って物言いたげに俺をみる
「また、俺か」
未来の俺とやらは、何て頑固ジジイなんだ…と考えてたらエレベーターが着く
ウィーン
「じいちゃんはさぁ…家族を大事にしなさいってそればっか」
七分丈のズボンのポケットに手をつっこむと高槻は、膨れ顔を見せる
その顔がどことなく、妹の真優子が拗ねた顔に似ている気がした
ポーン
「あ、7階着いた!」
ドアが開くと高槻は飛び出す
「おい、先に行くな!部屋わかんないだろ」
「知ってる!707号室っ!」
何故親にすら教えてない部屋を彼が知っているのか…
この時俺はあまり深く考えもしなかった
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