56人が本棚に入れています
本棚に追加
咲夜さんに門番の件を話すとすぐに採用してくれた。
美鈴さんの昼寝には悩まされていたみたいだ。
「それで美鈴さん、修行って何をすればいいんですか?」
「現在の戦闘ルールである弾幕ごっこは相手にスペルカードを使い切らせるだけでも勝てます。弾幕が撃てない場合、回避を重点にし修行します」
と、言われてもメイド服じゃ走りにくいし魔理沙さんみたいに飛べる訳でもない。
「とりあえず弾幕が使えるかが先です。弾の形は使い手によって異なりますからその形がイメージ出来ないと弾幕は使えませんけどね」
…形をイメージするまでだけでかなり時間がかかりそうだなぁ。
「まあ、咲夜さんみたいに特殊な人もいますけど…」
聞いた話によると咲夜さんはナイフを使うらしい。
さらには時間を操るとか…
暗殺だって楽にこなせるって事だ。
絶対敵にしたくない。
「それでは弾幕を撃てるか試してみましょう」
そう言うと美鈴さんは小さな机に林檎を用意した。
「えっと…当てるんですか?」
「当てる対象がある方がイメージしやすいと思いますが…無い方がいいですか?」
「大丈夫だと思います」
私は大きく深呼吸をして目を閉じた。
人によって違うという事はその人と関連がある物なのだろうか?
ふと頭にうかんだのはナイフとフォーク。
これで林檎を貫けたらいいな…。そんな事を考えていたら突然、何かが飛ぶ音とザクザクと突き刺さる音が聞こえてきた。
「え…?」
目を開くと三本のナイフと二本のフォークが刺さった林檎が地面に落ちていた。
「め、美鈴さん!出来ましたよ!」
美鈴さんは立ったまま目を閉じていた。…精神集中?ならちょっと試してみよう。
私は美鈴さんの身体にナイフを刺すイメージをする。
すると何もなかった空間にナイフが現れ、美鈴さんに向かって直進した。しかし美鈴さんは寸前の所でそれをかわした。
「ご、ごめんなさい咲夜さん!…あれ?」
私と壁に刺さったナイフを交互に見つめる。
「えっと…弾幕じゃなくてナイフとフォークが撃てました」
それからしばらくの間、無言の時間が流れた。
最初のコメントを投稿しよう!