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「ん……んぅ?」
目を開けるとそこは深い森の中だった。
何故こんな所に居るのか、それはまったくわからない。
それどころか自分の名前、年齢、家族、それらが何一つ思い出せない。
「記憶喪失…?」
それ以外に考えつかない。
しかしここはいったいどこだろう。
森。いやいやそうじゃなくて、もっと詳しい…
「魔理沙!その本はダメだって言ってるでしょ!」
「何でいけないのか説明出来ないやつには返せないゼ!」
そんな声が向こうから近づいてくる。
私が様子を見ようと数歩前に出た途端、何かに跳ね飛ばされた。
そしてゲッ!という声と地面で急ブレーキをかけたような音が聞こえた。
「お、おい!大丈夫か!?」
うっすらと目を開けると金髪の魔女みたいな服装の女の子が私を支えていた。
「魔理沙…はぁはぁ…やっと追いついた…って何してるのよ」
「ア、アリス…私、メイドを跳ねた…」
その時、自分がメイド服を着ている事に気付いた。
そして辺りには本が数冊。その一冊のタイトルに目を走らせた。
「交換日記…?」
確かに読みにくい字(わざと?)だが、交換日記と書いてあった。
「ぅわああぁぁぁぁっ~~~~!!」
そんな声と共に短い金髪の女の子がその一冊を目にもとまらぬ速さで掴むとその場から逃げるように去っていった。
「…大丈夫か?」
「一応…大丈夫みたいです。あ、お名前教えてもらえますか?」
「私は霧雨魔理沙だぜ。あんたは?」
「それが記憶喪失みたいで名前が思い出せないんです」
「それは大変だぜ。とりあえず、メイドのいっぱいいる所でも行ってみるか?」
魔理沙さんはさっきぶつかった事を気にしている感じだった。
私はお言葉に甘えて魔理沙さんの箒に乗せてもらい、その場所へ向かう事になった。
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