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残された私は美鈴さんと向かい合わせに座り記憶が無い事を話した(椅子は美鈴さんが用意してくれた)。
「そうなんですか…。わかりました!私でよければ力になります!」
美鈴さんはグッと私の手を握った。
「美鈴さん、迷惑じゃないですか?」
「いつもの事に比べれば大した事無いですよ。でも名前が無いのは不便かもしれませんね…」
「…そうですね。不便ですね…」
美鈴さんと二人腕を組んで考える。
ふと自分の胸元を見る。
そこには真っ赤な宝石…ルビーがはめられたネックレスが首からかけられていた。
ルビー…。確か七月の誕生石だったかな?
「思い出すまでは文月って呼んでください」
顔をあげると美鈴さんの後ろにメイド服の女の人が立っていた。
「美鈴…門番を休んで何をしてるんですか?」
「さ、さく、咲夜さん!?え、えっと、お客様の話しをちょっと伺っていまして…」
メイドさんの視線がこちらに向く。
「どういったご用件でしょうか?」
私はここに来るまでの事を説明した。
「またあの白黒は…」
メイドさんは額に片手を当てた。
「咲夜さん、なんとかなりませんか?」
「文月さん、一応お嬢様に報告いたします。しばらく待っていてください」
そう言うとメイドさんはフッと姿を消した。
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