月下美人

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「決めた。わしゃ宙にいくぜよ」 「んだぁ?織姫さまにでも誘われたか」 攘夷戦争―――。気がつけばヅラ、高杉、自分と途中から加わったこの黒毛玉―――坂本が中心となっていた。 だが、既に大局は見えている。それでも諾々と従うのはごめんだった。 ……松陽先生の仇も未だとっていない…… 「こんな戦はいたずらに仲間死にいかせるだけじゃ」 「これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ」 「宇宙にデカい船浮かべて星ごとすくいあげる漁をするんじゃ」 普段アッハッハばかりの男が宙に向けた瞳。 コイツはこんな瞳も持っていたんだな……。 坂本の言うことはおそらく正論なんだろう。宙へ飛ぶという奴を止める理由は無い。 分かっていた。それでもまだ自分の魂が納得できていない。だから、寝たフリを決めこむことにする。
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