869人が本棚に入れています
本棚に追加
「決めた。わしゃ宙にいくぜよ」
「んだぁ?織姫さまにでも誘われたか」
攘夷戦争―――。気がつけばヅラ、高杉、自分と途中から加わったこの黒毛玉―――坂本が中心となっていた。
だが、既に大局は見えている。それでも諾々と従うのはごめんだった。
……松陽先生の仇も未だとっていない……
「こんな戦はいたずらに仲間死にいかせるだけじゃ」
「これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ」
「宇宙にデカい船浮かべて星ごとすくいあげる漁をするんじゃ」
普段アッハッハばかりの男が宙に向けた瞳。
コイツはこんな瞳も持っていたんだな……。
坂本の言うことはおそらく正論なんだろう。宙へ飛ぶという奴を止める理由は無い。
分かっていた。それでもまだ自分の魂が納得できていない。だから、寝たフリを決めこむことにする。
最初のコメントを投稿しよう!