プロローグ

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雄介はペナルティエリアから動く事が出来なかった。 ボールは無情にもゴールポストに阻まれた。 歓喜に沸く磐田第一中。 雄介には何も聞こえなかった。 観客の声援、歓喜に沸く声、様々な音が飛び交うピッチで雄介のいる空間だけが無音だった。 「行こう・・・」 正広は雄介の肩を叩き皆が待つセンターサークル付近へと連れて行く。 雄介の目から涙が溢れていた。 「すまん・・・みんな・・・」 雄介が言える精一杯の言葉。 ここまで共に戦ってきたチームメイトにとってはそれで充分だった。 「気にすんなって!」 「そうだよ。お前らがいなかったら全国ベスト4なんて無理だったしな」 「そうだぜ!全国ベスト4。すごい事じゃん」 チームメイトは雄介を暖かく迎えいれた。 様々な青春が詰まった笹山中の全国中学サッカー大会は準決勝敗退という結果で幕を閉じたのだった。  
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