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カエルが泣くから帰れ
「せ、先輩っ!?これ受け取ってください!?」
「えっ…?あ…良いけど…」
ちっ…朝から見せつけてくれちゃって…
「あ…ありがとうございますぅっ!?で、ででででわさよならっ!?」
「何もらったんだよ榊?」
「なんだろな?開けるか。」
第一話で説明…以下略
つまり榊はやたらモテる。
悔しいが、男前であり、自制心、自尊心、感受性、協調性がある、っていうかつまりはさわやか系でみんなの人気者。
対する俺は爆弾女(後藤)のせいでいつも笑われ者だ。
なんだこの言い様のない怒りとやるせなさは…
「榊、それ開ける前に一発殴っていいか?」
「何でだよ…」
「いやっ…なんかすげー腹立ったから…」
「ただのひがみじゃねーかっ!?」
渡された物は紙袋。
外見を破り中を確認する。
「手編みのマフラーとかベタだなぁ…しかもよく考えたら今の時期(五月)使わねぇー…」
「いや…広大…それはどうかな…?」
「ああ?」
マフラーをどけると紙袋を逆さにし、手を添える…
すると、
チャリッ…
中からポトリと落ちて来た金属音のする小物…
「…ってお前これ…?」
「家の鍵だな…」
「どんだけ~っ!?!?」
普通家の鍵とか渡すかぁ?どんだけ大胆だよ、最近の女子高生…
「まぁ鍵は返すけどな…」
「当たり前だっ!?そんな不純でふしだらな行為はお父さんが認めませんっ!?」
「誰が父親だ…ったく…やっぱひがみじゃねーか…」
「ひがみじゃないやいっ!!こーくん羨ましくなんかないぞ!?」
「はいはい、っで、そのこーくんは今までプレゼントってもらった事あるのか?」
「あるっつぅの!!にが…」
「あー…二月十四日のバレンタインに義理チョコってのは無しな?」
「う…じゃあ、しん…」
「それと新聞社から誕生日に来る祝いの品とかも無しな?」
「…」
「まぁお前を責める訳じゃねぇけど、お前いまいちパッとしないし、人に自慢出来る事だってねぇし…」
「ぐっ!?言わせておけばこの野郎…」
ダッ…
「お、おい…何処に…」
「うるっせぇ!!死ねバーカバーカ!?」
いきなり颯爽と走り去る広大…
「なんだかなぁ…」
その後ろ姿を見ながら、今後の広大の主人公としての、位置付けに早くも疑問を抱く榊だった。
続く
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