記憶を失した日

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夏も終わりに近づいているのに、セミの鳴き声が途切れる事なく聞こえている。 道路からは湯気のようなものが漂っていて、目の前を少し惑わせる。 そんな蜃気楼の中で、足音が近づいて来る。 昼下がりの通学路を1人制服姿で歩いているアタシの目の前に、突然"あの人"は現れた。 戸惑いなんて隠せない。 言っている事も信じれない。 だけどアタシは忘れてしまった。 忘れちゃいけなかったのに、忘れてしまっていた。
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