死に神と女神のつうわ

2/3
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
 それは余りに唐突だった。時間は午後十時。机に放置していた携帯がけたたましく鳴る。初期設定の音楽が六畳一間の真新しいフローリングの部屋に響き渡る。  ベッドに寝っ転がって読書をしていた僕が気付くには充分な音量だった。  いや、よく考えたら予想は出来る。僕の連絡先を知っている人なんて、二人しかいない。  手を伸ばし相手を確認する。僕の動きが止まった。それは一瞬ではあったが、僕にはとても長く感じられた。  溜め息を吐く。僕は携帯を操作して、メールを開く。矢張り彼女からか。メールの内容は彼女の学校に今すぐ来い。ということ。  僕は、彼女と会いたくない僕はメールを無視して、携帯を机に戻す。  しかし、携帯は直ぐに振動を始める。携帯を相手を確認する。予想通りの名前が浮かんでいる。彼女は無視するのが分かっていたのだろうか。  メールは僕を殺すという脅迫の内容。  僕には彼女への絶対服従、決して逆らえない主従関係がある。彼女からしてみれば、僕をこの世から削除することは赤子の手を捻り潰すようなものだ。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!