奇跡

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二人で人目を気にせず話せる場所なんて、街にはなくて、結局ホテルへ行った。 彼はベッドの上で、あたしはソファーの上でしばらく話をしていた。 仕事の事や今までの恋愛の事。 テレビで見る彼とは違って、本当に普通の感覚の人で逆に嬉しかった。 しばらくすると、彼はベッドに横になった。 「ごめんやけど、少しだけ寝かせて。昨日徹夜で打ち合わせやってん」 本当はずっと話をしていたかったけど、これからまだライブがあるし、了解した。 「なぁ、こっち来てや」 言われるまま近くへ行った。 彼は自分の隣を空けて、『一緒に寝て』 とだけ言った。 隣へ入ると、顔がすぐ横へあって、目が合わせられなかった。 「なんか、めっちゃドキドキするわ」 「あたしも」 彼が覗き込んできて、初めてキスをした。 「ごめん…」 彼が目を伏せる。 結局彼に腕枕をされたまま、それ以上は何もなく、彼は眠りについた。
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