逸話、神隠し

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『あ~、綺麗だったなぁー。花火』 『そうだな』 『ん? どこ行くんだよ翔』 『や、帰りにちょっと祠行こうかと……』 『また行くのか! 物好きだなぁ』 『まな。じゃ、俺はここで』  浴衣を着て大神の仮面を首に掛け、祭りを楽しんだ翔。  其の帰りに大神が祀られる祠へ来たのたが……。 「こいつ、誰だ?」  祠の目の前には、大の字で眠る子供が居た。  浴衣を来て、帯にでんでん太鼓をさした姿を見ると、此の子も祭り帰りなのだろうか。 (にしても、こいつのでこに生えてるコブは一体……)  一見普通の子供。しかし、褐色の肌に額に瘤の様な角が生えてるのは異様だった。 (どこの子供だろ……)  気になって、試しに触れようと手を伸ばす翔。が、其の手は子供に触れる事無く、代わりに其の下の芝生に触れた。 「ひぎゃっ!!」  思わず仰け反る翔。しかも、よく見たら其の子は若干透けている。 (な、ななんだこいつ!! はっ! もしやこいつが噂のゆうれ……)  ぱちり  子供が目を開けた。 「ぎゃっ!!」  翔は思わず尻餅をつき、其のまま腰を抜かしてしまった。 「ん?」  子供と目が合う。が、翔は動けない。 「あれ? オレ見えんの?」  簪着けてないのにぃと言いながら、首を傾げる子供。
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