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冬美は自分が今までにやって来た事全てが無駄だったんだと、嘆き途方に暮れた。 「定員オーバーって何よそれ。父さんも母さんも壺の中だなんて、苦しいよね。怖いよね。父さん…母さん…」 こんな事になるのなら死者になっても、この場所に残って欲しい。冬美はそう考えたのだ。 それから間も無く、冬美はまたテレビの怪奇特集番組に参加していた。 「伊原さん? 伊原さんどうしました?」 「いえ」 「次はあのトンネルの向こう側へ歩いてみて貰えますか?」 「はい」 冬美は考えた。 トンネルの向こうに見える死者も、これから出会っていく死者も、全て私がこの現世に匿っていかなきゃと。 それはいつか、この国が霊で溢れかえる事になると解っていても。
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