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冬美は撮影前日に現場を下見する事を心掛けていた。 今回も早朝から現場を訪れた。 最後となるロケ地は、冬美の両親を乗せた飛行機が墜落した山にあるトンネルだった。 「まさか最後が此処になるなんてね。何で承諾しちゃったのかな」 そう独り言を呟くと、冬美は両親らを祀った慰霊碑を目指し山を登った。 何度か祖父母と一緒に鎮魂祭には参加していたが、二人が天に召されたのを見送って以来、一人で訪れるのは初めての事だった。 全国行脚で足腰は鍛えられている。冬美はあっという間に慰霊碑のある場所に辿り着いた。 すると、慰霊碑の付近に何か徒ならぬ気配を感じた。 冬美は暫しその慰霊碑に近づこうとはせず、木陰に潜んでそっと覗いてみた。 それはいまだかつて見たこともない姿形をした化け物だった。
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