序章

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医者によれば、一時的な、部分的記憶喪失という事だった。 『部分的』というのも、高校入学前までの記憶はあるからだ。 つまり、朋也の中では、まだ中学生なんだ。 中学生のいつ頃なのかは、いまいちまだはっきりしないが、本人に訊いた話だと、肩を壊す少し前と思って良いだろう。 医者も比較的すぐに治るだろうと言っていた。 だが、私はすぐにでも思い出してもらいたかった。 私と朋也が過ごした日々が、朋也の中で無くなる事は、あまりに悲しすぎる現実だった。
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