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朋也が意識を取り戻してすぐ……
朋也は一般の病室に移った。
人工呼吸器とか心電図とか、そんなものつける必要が無い程に元気なんだ。当然だろう。
智代「おはよう朋也」
朋也「おはよう…坂上…さん」
智代「『坂上さん』はよしてくれ。智代で良い」
朋也「おはよう…智代」
そこには、どこかよそよそしい朋也が居た。
朋也の中ではまだ中学生で、その朋也から見れば、私は見知らぬ年上の女なんだ。無理も無いかも知れない。
そんな初めて見せる朋也の表情も、可愛いものがあった。
……でも、分かっていても、やはり悲しい。
河南子「ちょっと、あたしの存在忘れて無いですかね?」
智代「朋也、河南子の事は判るか?」
朋也「かな…こ…?」
河南子「うわぁ~、ホントに忘れちゃってるよ」
智代「仕方ないだろう。一時的なものらしい。焦らず、ゆっくり思い出していこう」
河南子「先輩、この上はあたしの拳によるショック療法を──」
ギロッ!!
河南子「い、いえ、なんでもありません」
鷹文「…いい加減、僕もしゃべって良いかな?」
河南子「あんたいたの?」
鷹文「いたよっ!勝手に空気にすんなよっ!」
智代「こらっ、病院で騒ぐものじゃ無いぞ」
普段通り朋也と接っしていれば、案外、あっさり記憶が戻るかも知れない。
そう思った私は、まずは普段通り接してみる事にした。
朋也「あの、さか…智代。目が赤いぞ?どうかしたのか?」
智代「あ、いや…これは…そう、アレだ。うん。アレルギーなんだ」
つい嘘をついてしまった。
本当は昨夜、一晩中朋也の事で泣いていたら、目が赤く、腫れぼったくなってしまった。
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