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「綾女…だが……!」
女の名は綾女というらしい、男は彼女の言葉に反対を示すが女は己の意見を変えようとはしない。
「何で渋るのよ?私、彼にならこの身体を使ってサービスしてあげてもいいわよ…?」
勿論追加料金は弾んでもらうけどと付け足した綾女は大きな瞳を細め、怪しげに口角を上げてちらりと薬売りへ視線を向ける。
「おい、何言っ―」
「ふふっ…冗談よ。じょ・う・だ・ん。まあ…素敵な化粧の彼に誘われたなら相手しちゃうかもしれないわねぇ…」
信幸はばつが悪そうに顔を歪めるが小さく息を吐けば何処か呆れた様な口調で言葉を紡いだ。
「お前は本当に…物好きな女だな」
くすりと女は笑う。
「そんな物好きな女じゃなかったら…貴方となんて結婚しないわよ」
どうやら信幸と綾女は夫婦のようだ。その仲は良好だと思われる。
彼等は幸せそうだ。
お互いがお互いを理解している。
「しょうがねぇから泊めてやるよ、薬売り…金は持ってんだろうなぁ?」
「持ち合わせは、在ります…よ」
「よし、なら部屋に案内してやるよ」
どうやら泊めてくれる様だ。
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