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泊まれるという事が決まった今、再び辺りを見回してみる。広いロビーには金の縁取りがされた青布のソファ、天井から吊られたシャンデリア、左右に別れた通路、明るく照らされたその奥には階段が見えた。
ふと、階段の奥から白が現れ、揺れた。
ふわり
ふわり
ふわり
その白は一段下りる度に揺らめき、隠された色白の肌を覗かせた。
「お兄様…、この方は?」
鈴の音の様な可憐な声、彼女の肌は白百合の様に白く透き通っている。だが、その姿は異色であった。
血液の様な赤をした大きな瞳、腰程まで伸ばされた白の髪、それは、蛍光灯の光を反射しきらきらと輝いている。身に纏うは胸元の露出を控えた膝下丈の白のワンピースとヒールが低めの白洋靴のみ、露出する腕足は異様に細く感じられ、握ったら直ぐに折れてしまいそうであった。
「何だ、起きていたのか。紅」
紅と呼ばれたその少女は多少不機嫌そうに唇を尖らせた。
フロアに降り立ち少女は再び問いを口にする。
「ええ、起きておりました…。兄様?この方はお客様ですか?」
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