許嫁な奥様

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「さっぱりしましたか?」 風呂からあがって、リビングの扉を開けると、美咲が味噌汁碗片手にそんな言葉を投げ掛ける。 「うん、お陰様で…」 風呂上がりの俺は、さっきまでの汗臭さやベト付きは無かった。 「父さん、母さんおはよ」 いつもの日課になっている、両親の写真を飾っている仏壇に挨拶をする。 「はい、どうぞ武さん、食べて下さい」 「有難う、いただきます」 熱々の湯気が立ち昇る白いご飯を口に放り込む。 美咲と結婚して、七年の月日が過ぎた。 美咲と俺は、俺の家を出る事無く今でもここに住み続けている。 二人の間にはまだ子供は居ないが、それでも充分な程に幸せに満ち足りた日々を過ごしていた。 俺は二年前に美咲のお父さん、鳳神さんの元を離れ資産家として独立した。 まぁ、今でもアドバイスなどを貰ったりして、良い関係を続けている。 唯一不満とは言わないが、会う度に孫はまだか?と言われるのは、正直並々ならぬプレッシャーを感じてしまう。 今年で26になる俺達は、心も体も少しは大人になったと最近感じる様になってきた。 俺の友人綾や、半蔵達も無事に大学を卒業して……。 「武さん、あの事考えてくれましたか?」 向かいの席に座った美咲が、突然そんな事を言い出した。
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