14233人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ…アレね」
美咲の言葉で忘れかけていたアレを思い出した。
アレを思い出すと、少し気が重くなる。
「最近お仕事がお忙しい様ですが、もしかして考えていませんでした?」
気だるそうにする俺を見て、美咲は少し慌てた様子で言葉を繋ぐ。
「いや、とりあえず考えてるよ。
正直面倒臭いけど」
そう言って味噌汁を啜る。
ん?味噌を代えたのか?
一段と美味くなったな、今日の味噌汁は。
「面倒臭いだなんて、せっかくの良いお話なんですから」
「ん?ああ、悪かったな
とりあえず本人に会ってみるよ、あと他の奴らにも声掛けとかないと集まらないと思うし」
「そうですね、本当に楽しみです。
武さんはお仕事の予定は大丈夫ですか?」
「うん、何とか調整したから、今の所は大丈夫な予定」
「なら良いんですが、あまり出張ばかりしないで下さいね。
私、淋しいです」
美咲は俺の顔を見ると、照れた様に笑った。
「分かってる、極力日帰りで帰れる様に組むから」
「ごめんなさい、我が儘で」
「大丈夫、あ、今晩は、さっきの話で出掛けるから、晩飯は要らないよ」
「分かりました、アレ宜しくお願いしますね」
アレか……やっぱり面倒臭いな。
最初のコメントを投稿しよう!