許嫁な奥様

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「ああ…アレね」 美咲の言葉で忘れかけていたアレを思い出した。 アレを思い出すと、少し気が重くなる。 「最近お仕事がお忙しい様ですが、もしかして考えていませんでした?」 気だるそうにする俺を見て、美咲は少し慌てた様子で言葉を繋ぐ。 「いや、とりあえず考えてるよ。 正直面倒臭いけど」 そう言って味噌汁を啜る。 ん?味噌を代えたのか? 一段と美味くなったな、今日の味噌汁は。 「面倒臭いだなんて、せっかくの良いお話なんですから」 「ん?ああ、悪かったな とりあえず本人に会ってみるよ、あと他の奴らにも声掛けとかないと集まらないと思うし」 「そうですね、本当に楽しみです。 武さんはお仕事の予定は大丈夫ですか?」 「うん、何とか調整したから、今の所は大丈夫な予定」 「なら良いんですが、あまり出張ばかりしないで下さいね。 私、淋しいです」 美咲は俺の顔を見ると、照れた様に笑った。 「分かってる、極力日帰りで帰れる様に組むから」 「ごめんなさい、我が儘で」 「大丈夫、あ、今晩は、さっきの話で出掛けるから、晩飯は要らないよ」 「分かりました、アレ宜しくお願いしますね」 アレか……やっぱり面倒臭いな。
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