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ボクは中学1年の時、反抗期の真っ只中だった
母に何か言われるたびに
「うるせぇ、くそババア!」
「死ね、くそババア!」
と言い返していた
それも毎日のことだった
ある日、いつもと同じように
「死ね、くそババア」
と言うと、母は黙ってボクの腕を握り締めて、道路の向かい側の砂浜にボクを無理やり連れて行った
その途中も
「放せよ、ババア!」
と声を荒げながら…
砂浜で母はボクの目をじっと見つめて言った
「お母さんなんて死んだらいいのね。ここでじっと見ていなさい」
すると母はエプロン姿のまま海の中へ歩いていく
腰のあたりまで水につかりさらに進もうとする
あっという間に首まで水に浸かり、さらに歩き続けようとする
ボクは怖くなって泣きながら大声で叫んだ
「お母さん、お願いだから戻って来て!」
母は振り向いて戻ってきた
ボクは泣きじゃくっていた
その日からボクは母に「死ね」とか「ババア」とか言わなくなった
反抗期が終わった日だった
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