新たなる策謀

5/5
前へ
/915ページ
次へ
※清洲城 信長・・・「おっ。正幸いかがした?」 正幸・・・「はっ。こたびの戦で多くの今川家臣を討ち取りました。重臣を亡くした今川家は滅亡寸前。このままでは武田、北条の物となり我等の背後を脅かし、美濃どころではなくなります。」 信長・・・「うむ。そちの申す通りじゃ。三河の松平が今川に人質を出していたが、こたびの負け戦で今川家から独立した。 当主に返り咲いた竹千代(後の家康)が同盟を申してきたが、松平だけでは、武田、北条を抑えるのは無理じゃからな。何か手はあるか?」 正幸・・・「はっ。今攻めればたやすく奪えましょう。」 信長・・・「奪うのは簡単じゃ。奪った後、武田、北条から国を守らねばならん。統治出来る程人材が溢れておらん。」 正幸・・・「殿。それがしなれば、我が手勢のみで見事治めて見せましょう。それに松平家もここ数年国作りに専念せねばなるまい。 前後に織田が入れば国作りに専念出来ましょう。松平に大きな貸しもつくれます。」 信長・・・「解った。そちには先の戦での恩賞も充分やれなかったからな。駿河、遠江を攻め取った暁には、駿河一国を主にやろう。では準備にかかれ。」 正幸・・・「はっ。」 信長は正幸達に対し絶対なる信頼を持ちつつ、危機感をも持っていたのである。 信長・・・「ふっ。まあ織田が背後に入れば松平も簡単には裏切れまい。 また正幸達も遠ざける事も出来るしな。(笑)」 小姓・・・「松平はともかく、なにゆえ家臣である真田殿を遠ざけるのですか?」 信長・・・「あやつらは優秀すぎる。本気になればこの信長をも簡単にやられるであろう。あやつらを、田舎に閉じ込めておくのだ。」 小姓・・・「謀反を恐れるなら逆に近くにおいておいた方がよろしいのでは?」 信長・・・「近くに、おいておいたらいつ寝首をかかれるかわからん。 駿河なれば武田、北条から国を守らねばならん。 謀反など企ててる暇などない。駿河を取ってもじきに武田、北条が攻めてくるは必定。松平の監視にも目をむけなくてはならんしのう。 その間に、ワシは京に上り天下に号令する。そうなれば正幸達を恐れる事はない。それまで東はあやつらに任せておけばよい。」 これも全て、藤吉郎の入れ知恵なのだ。 両者の戦いはこの時から始まった。
/915ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6599人が本棚に入れています
本棚に追加