僕の彼女は電波少女

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いつもと何ら変わりなく、窓の外から鳥の鳴き声が聞こえる――。 どうやらもう朝のようだ。カーテンの隙間から漏れてくる朝日が、妙に腹立たしく、眩しかった。 正直、眠い。 昨日はいろいろな事があり、あまり眠れなかったのだ。 両腕を組み、それをまくらの様にして天井を眺めつつ、昨日あった出来事を思い返す。 まずは、危うくトラックにぶつかりそうになった。 そして天界から来たとかいう、神様とは思えない神様に助けてもらった。 自分の不幸は、実は不幸の称号が原因と知った。 それから罪滅ぼしとかで、願い事をひとつだけ叶えてくれると、神様は言った…。 「そーいや、お願い事……何にしたっけ」 まだ目覚めたばかりのためか、頭がもやもやしてよく思い出せない。 「あ、岬さんもう起きてたんですね。おはようございます」 台所辺りから、聞き覚えのない透き通った声と、リズミカルな野菜を切る音や、クツクツとナベの沸騰する音が聞こえた。 「うん、おはよう……あれぇ、何をお願いしたんだっけな…」 何気なく返事をした岬だったが。 ――ん……? 「はぁッ!?」 布団をはねのけ、勢い良く起き上がる。 「な…?!だ、誰だ…?」 その瞬間、昨日の神様の言葉が鮮明に蘇る。 『明日の朝お前が目を覚ました時には、テーブルの上に朝メシと、お前の“彼女”がいるハズだ…まぁせいぜい期待してろや…』 本当に叶ったってのか…って事は、コイツが俺の彼女? 嬉しさよりも、今は驚きの方が勝っていた。 思わず唖然とする。 「今、朝ご飯の用意をしてますから。もう少し待っててくださいね」 そんな岬をよそ目に“岬の彼女”は、鼻歌混じりに手際良く朝食の用意をする。
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