夜明けに帰り道は見えるのか

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 あたしはみんなと一緒に、ジャバウォックと闘いました。けれどそれは――こんなことを言うのもおかしなことだけど――あたし自身の意思ではなかったように思います。どちらかと言えばなりゆきと言った方が正しいと思います。  でも、あたしに世界を救うという意思がまるっきりなかったという訳でもありません。あたしはあたしたちの世界を守りたかった。その想いは決して間違いではないはずです。  世界を担う事。けれど、それは明らかに、あたしにとって荷が勝ち過ぎていた問題でした。  何の脈絡もない話だけど、あたしは子供扱いされる事が一番嫌いで、だから、こう言ったら矛盾してるし、非難を浴びそうだけど、“あたしは子供です”。  本当は知っていました。あたしはごくごく平均的な十一歳の女の子で、どうしようもないくらいに子供だってこと。  あたしは政治についてよく知りません。権力とかお金とかもよくわかりません。大人という生き物もあまり知らないし、世界情勢についても詳しくありません。  あたし、メグ・スプリンクルにとっての世界は、途方もないくらい宏大で、だから到底把握だなんて、万に一つもできるはずもありませんでした。  その世界を救うとか、滅びるとか、統治や平和とか。そんな事、あたしには当然分かりっこない問題でした。 .
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