3.去る者と残された者

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俺は、先輩の葬式に参列して…先輩の棺桶を見た… それは、作り物のようで、 まるで寝ているだけで、 大声を上げれば、起きるんじゃないのかと、思わせる死に顔だった… そして、先輩の葬式は何の変化もなく…終わった 人が死ぬとは、生きている限り、起こらない事ではない… いや、生きているからこそ、死ぬ ただ、その死に、その生きていたときに、行なった事に、意味を持つかどうかだ 俺は、慣れないスーツを着て、初めて身近な人の死で、死を感じた。 葬式中に、俺は、ある事を考えていた… それは、俺のこれからの事だった。 何をしたら良いのだろう… 俺は一体どうしたら良いのだろう? 先輩を殺した奴を見つけ出して、何かするべきなのか? それとも、警察に任せるべきなのだろうか? だが、一介の学生として身を置くようになった自分に何が出来るのだろうか? 昔だったら、そんな事気にせずに、自分の気のおもむくままに探しにいけたのに… いつの間にか、世間のしがらみに囚われた俺は、地に落ちた鳥のようだと思った。 俺は、何を求めているのか、それすらも、わからなくなっていた。 身近な者を失うとは…ここまでも虚無感が漂うのか…
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