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俺が先輩に出会ったのは…
この街に親の都合で引越して、編入した学校の必ず部活に入部しないといけない校則により、入部した文芸部だった。
その時に、御世話をしてくれたのがこの先輩だ。
この街の事を知らない俺に、いろんな事を教えてくれた…
今の友達の大半も先輩の関係者だ。
火葬場の外のベンチで俺は、先輩の焼かれている方向を見て空へ消えていく白い煙をただ見つめていた。
そこで、ふと気付くと、
俺の他にも、火葬場を眺めている女の子がいた。
彼女は涙を流しながら、じっと火葬場の煙突から上る煙を見ていた。
先輩の妹だ…
人目を気にしないで、彼女は声も出さずに涙だけを流していた。
彼女は、これからどうなるのだろう…
両親は、交通事故で死んだと先輩は言っていた。
そして、両親の生命保険と自分がバイトして、今まで暮らしてきたと聞いた事がある。
彼女は…どうなるのだろか?
俺に出来る事は無いのか…
さっきまでそんな事を考えていたせいか、俺は彼女に話しかけた…
涙を流していた彼女は…俺のほうを見る…
泣いていた彼女の眼が…とても綺麗で…俺は惚けてしまった…
いつも見ていた、彼女とは違う雰囲気に……とは思ったものの…
あまり親しくない関係だったから、よくわからない…
とりあえず、彼女に俺はハンカチを渡すと、彼女は黙って受け取り涙を拭う。
何を言えば良いのだろう…
出来る事は…なにを話そうか悩んでいると
「先輩の事、本当に残念だったね」
いつの間にか、先輩の知り合いらしき人が、彼女に話しかけてきた。
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