5.恥は掻き捨て、世は情けない

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同じ姿の別人のキャラじゃないかと考えるが… そのキャラの上に、表示されている名前は、雅継… 俺の親父の名前だった。 さっき…母のメールで、俺の家族を増やす要因を作る為に奮闘しているとか言われていた男だが… なぜ、ここにいるんだ? 「まさか…この僕が…」 ゲームに視線を戻すといつの間にか、親父はドームの端に追い詰められていた。 普通このゲームは、複数の人が共同で遊ぶゲームである為に、 一人では、やはり限界であったのだろう… 周りの人が緊迫した雰囲気を表す… 親父が、ゲームオーバーしたら、なぜこんな所にいるのか、聞いてみるか。 そんな事を考えつつ、じりじりと追い詰められていく親父を見ていると、何だか嫌な予感がするものだ… 「どうやら、帰れそうもないよ…春夏(しゅんか)」 母さんの名が、スピーカーで… 俺は顔を赤くする…自分の母親の名前が、こんな人のたくさんいる所で… まあ、この名前が母だと解る人はいないだろうが… そう考えている間にも、 親父の体力ゲージが、少しずつ削られていく… もう誰もが、終わったと思い画面から眼を逸らした瞬間… 奇跡は起きた… スクリーンに共闘者参戦!! と大きく表示され、親父の様子が見えない… そして、文字が消えた瞬間、親父の周囲にいた敵は、一掃されていた… 共闘者は、あの文字が現われた瞬間に、助けたと言うのか!? 緊迫した表情で、皆が再び画面に注目する… 黒い魔神のような甲冑を着たガントンファーを構えた女性が親父の前に立っていた 共闘者は誰だ!! 俺は、そいつの名前を見た… 登録名…春夏…母さんの名前だ… 「パートナー登録…プレイヤー、シュンカ接続確認!!」 コンピューターが、共闘者の名を読み上げ、順番待ちの皆が、歓声を上げた。 母さん!!!あんたもゲームセンターに来ていたのかよ!? さっき親父が呟いたなと同じ名前の者が、現れ、ゲーム待ちのお客以外も、スクリーンに注目している…
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