9.先輩との思い出

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「あの…本当に良いんですか…それ…重そうなんですけど…」 俺の部屋にある本を、ダンボールに入れながら、冥乃ちゃんは俺を見ていた。 「いや…冥乃ちゃんは、ダンボールに本を入れといて… あと…そんなベッドの下を見なくても…そんな本…無いから…」 俺の方を見ながら…ちらちらとベッドの下に、冥乃ちゃんの視線が向かっていた。 「えっ…いえ!!そんな…」 やはり図星だったか?…いくら…本を入れとくように頼んでも… 「私は…雅春くんのそのダンボールの持ち方が気になって… 取っ手があるのに…下から腕で持ち上げるような事をして…」 俺は彼女の言葉に理解した… まあ、家族になるんだし…話していた方が良いな 「俺、此処に引っ越してくる前に、事故にあって握力が弱いんだよ」 「だっ…大丈夫なんですか!?私が持ちます!!」 「いや、日常生活では問題ないけど…持久力が落ちてね~」 俺は、軽く笑うと、部屋の扉を足で開けようとして…足を止めた 「冥乃ちゃん、両手塞がっているから…ドア開けてくれない?」 危ない所だった。もうこの部屋は、冥乃ちゃんの部屋になるのに、足で開けるなんて… 冥乃ちゃんに失礼だ。 「あっ…はい!!すぐに開けます!!」 冥乃ちゃんはそう言って、ドアを開けてくれた 「ありがとう、じゃあ、部屋に持っていくけど… 片付けるから…ダンボールの入った本は、そこに置いていて良いよ、 あとから持って行くけど…」 「あの…このノート…本の中に入っていたんですけど…どうした方が良いですか?」 それは…先輩が俺にくれたノートだった… 日記を兼用してあり、俺はそのノートを見れずに、本棚に置いていた… 「ああ、ちょっと、このダンボールの上に置いて~」 俺はそう頼んだ… そして、屋根裏部屋の梯子を登り… 俺はダンボールを床に置いた。 連子先輩…俺は…先輩の事を思い出した… 長い黒髪を後ろで束ねたポニーテールの髪型をし… ブレザーの学校なのに学ランを着ていた。 出会いは…其れほど特別と言えるものじゃなかった。
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