9.先輩との思い出

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それは、俺が引っ越し初めて学校に行った時の事だ。 「月影君、我が校は、全生徒必ず部活に参加しなくてはいけない…わかりますね?」 職員室に放課後呼び出され、俺は先生にそう言われた。 「とりあえず…運動部系は…その怪我じゃ…無理そうですね」 当時の俺は、怪我をしていて、左腕が満足に使えない上に両手の握力は、運動するほどの力は回復していなかった。 「じゃあ…文化系の部活に行きましょうか…」 終始無口の俺に、先生はおどおどしながら、部活に案内した。 この頃の俺は…自分がこの世でもっとも強いと思っていた愚か者だった… そして、その愚かさ故に… 俺はこんな大怪我をして…捻くれていた。 「じゃあ、次は文芸部で…でも、ここは…あまりお勧めできません…」 知らない間に、俺は部活を紹介されていたが… そんな事…どうでも良かった… 先生が文芸室のドアを開け… 落胆するようなため息を吐く… 「まだ…そんな格好をしているんですか…鷲見くん…」 俺は…その落胆する先生が話している生徒を見た… 「ここは、ブレザーの学校なのに… なぜ…学ランを着ているんですか?それに…」 確かに… 俺の目の前には、黒い学ランを着た… 机の前で頭を抱えている男が長い髪を束ねもせずに居た。
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